面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。
今回は、『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』について語りました。
久しぶりに「すごく熱中してすごくしっかり読んだ」という感じの本で、決して内容が難しいわけではないけれども、考えさせられることがめちゃくちゃたくさんある本でした。
雑な説明をすれば「所有ってなんなのか」ということを通じて、社会や人間を考えていこうみたいな話、というので終ってしまいます。ただ、本に書かれている事例の多くのことが「そういう風に考えたことなかった」というものが多く、知識というよりもたくさんの新しい視点を知ることが出来た、という感覚でした。
最近のブックカタリストはわりと昔に読んだ本を、脳内で整理できてるから語る、という漢字の内容が多かったんですが、今回は「めっちゃ面白かったから熱いうちに語りたい」というタイプのもの。
どっちがよりよい方向性なのかは簡単に答えは出ないんですが、まあそういうのを好きなように、楽しんで語れてる、という姿勢が一番重要なのかな、と思うので、そこらへんはこれからも「面白いと思った本」について語っていく、という姿勢で続けていきます。
以下、要約です。
本の紹介と著者について
紹介する本は「マイン - 私たちを支配する所有のルール」
2024年3月に早川書房から出版
著者はマイケル・ヘラー、所有権に関する世界的権威
マイケル・ヘラーは不動産法を担当する大学教授
以前に「グリッドロック経済」という本も執筆している
所有権の概念とその重要性
所有権のルールは根拠をめぐるストーリーの戦い
所有権に関する様々な事例や理論が紹介される
具体的な事例と議論
飛行機のリクライニングシート問題
リクライニングシートを倒す権利は誰にあるのか?
付属の権利:アームレストのボタンがリクライニングを許可するという考え方
占有の権利:もともとシートが直立していた空間はその人のものであるという考え方
早い者勝ち:シートを倒せなくするマシーンを早く設置した人が優先される
航空会社の責任:座席を二重販売しているとも言える
アメリカの裁判の傍聴権
行列代行業者の存在
裕福な人が行列に並ばずに権利を購入する問題
早い者勝ちが資本主義によって歪められている例
大学のバスケットボールの試合のチケット取り
チケットを取るために48時間キャンプを張って並ぶ
忍耐力競争としての行列
卒業後の寄付金制度によるチケット権利の獲得
ディズニーのファストパス制度
待ち時間を減らすことで収益を増やす仕組み
ファストパスからビップツアーへの進化
一般の人々が納得する仕組みの工夫
希少な資源をうまくコントロールすることでビジネスとして成功する
所有権の根拠となる6つの概念
早い者勝ち:先に取ったものがその人のもの
占有:自分がいた場所だから自分のもの
労働の報い:自分が働いて得たものは自分のもの
付属しているもの:自分の所有物に付随するものも自分のもの
自分の体:自分の体は自分のものだと言えるかどうか
家族のもの:家族のものは自分のものだと言えるかどうか
文化や社会的信頼の影響
所有権の概念は文化によって異なる
所有権争いがいかに大変かを示す事例
スーパーでのカートの所有感覚の例
カーネマンの実験:戦友効果が所有権の感覚を生む
現代社会における所有権の問題
著作権や特許の問題
権利の複雑化とその影響
キング牧師の「I Have a Dream」演説の著作権問題
映画や音楽の権利が複雑化し、創造性を阻害している例
基礎研究の特許問題:複数の権利が絡み合い新しい薬の開発が進まない
ファッション業界の例:著作権が存在しないが創造性が保たれている
Linuxやオープンソースの成功例:著作権フリーで収益を上げる
結論
所有権のルールは絶対的なものではなく、常に変わり続ける
著者は所有権に関する問題を解決するためのヒントを提供
ディズニーやオープンソースのような新しいビジネスモデルが示すように、所有権の問題には多様な解決策がある
今回出てきた本はこちらで紹介しています。
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