今回は『心穏やかに生きる哲学 ストア派に学ぶストレスフルな時代を生きる考え方』を取り上げながら、ストア派(ストア哲学)について語りました。
書誌情報:
著者:ブリジッド・ディレイニー
英国『ガーディアン』紙ジャーナリスト。毎週執筆している人気コラム「ブリジッド・ディレイニーの日記」は、オーストラリア、アメリカ、イギリスで広く読まれている。『Wellmania』はイギリス、カナダ、アメリカ、フランスでも出版され、ネットフリックス社でドラマ化された。
原題:『Reasons Not to Worry:How to Be Stoic in Chaotic Times―A Practical Guide to Stoicism for Self-Improvement and Personal Growth』
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン(2024/08/23発売)
目次:
第1部 ストア哲学のエッセンス
第2部 人生とその不条理について
第3部 耐え忍ばなくてはいけないとき
ストア派の流れ
ChatGTPにまとめてもらいました。
ソクラテス(紀元前470年頃 – 紀元前399年)の弟子アンティステネス(紀元前446年頃 - 紀元前366年頃)を始祖とするキュニコス学派の思想から発展した。
ゼノンの弟子のうち最も影響力があったのはクリュシッポス( 紀元前280年頃 - 紀元前207年頃)。
こうやって図にしておくと把握しやすいですね。語り+図の両面作戦が有効です。
倉下とストア派
さて、ストア派の話については本編を聴いていただくとして、ちょこっとだけ自分の話を。
20代のはじめに、セネカの本を読んだ記憶があります。知的な岩波文庫の本でありながら、薄くて読みやすそうだったからという軽率な理由からです。とは言え、文章自体も難しいものではなく、むしろ多感な(そして生きづらさを感じている)年齢において自分が欲していたものが書かれていた感覚がありました。その後の人生においても、そこに表されていた考えを一つの方針(セルフ・ポリシー)にしてきたような気がします。
自分が注力できることに注力し、コントロールできないものは「そういうものだ。しゃーない」と割り切る。
そういうことができるようになると、他人の言動や立ち振る舞いにいらいらすることが劇的に減ります。たぶん、そういうマインドセットの習得がなければ、コンビニの店長をやりきることなど不可能だったでしょう。それは一つの生存戦略だったのだと思います。
その代償というか反動として、ちょっとしたことでテンションが上がることはなくなりました。「年齢のわりに落ち着いていますね」と言われたことがたびたびあります。心が凪いでいるわけです。世界に対して「ふ〜ん」というまなざしを向けている感じ。
今から考えれば、これはストア派の教えを越えていたのだと思います。過度に自分の心の平静を求め過ぎていた(ほどほどにせよ、というのもストア派の教えです)。
何事も、よいことばかりではないわけです。
結果的に、今の自分はある程度バランスが取れているとは思いますが、そうなったのは間違いなく一緒に暮らしている連れ合いのおかげです。自分ひとりではきっとずっと変わらなかった(むしろ悪化させていた)と思います。
本書でも著者はアンドリューという人と議論しながら実践していたという話がたびたび出てきますが、できるならこういうのは話し合えるもう一人の人がいた方がよいと思います。
その他の本いろいろ
『生の短さについて 他二篇 (岩波文庫) 』
『人生の短さについて 他2篇 (光文社古典新訳文庫)』
『怒りについて 他2篇 (岩波文庫)』
『エピクテトス 人生談義 上 (岩波文庫) 』
『エピクテトス 人生談義 下 (岩波文庫)』
『マルクス・アウレーリウス 自省録 (岩波文庫) 』
『ギリシア・ローマ ストア派の哲人たち セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウス』
『哲人たちの人生談義 ストア哲学をよむ (岩波新書)』
『迷いを断つためのストア哲学』
『知的生きかた文庫 ストア哲学―強く、しなやかに生きる知恵』
『STOIC 人生の教科書ストイシズム』
『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。: 古代ローマの大賢人の教え』
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