今回は倉下が、『難解な本を読む技術 (光文社新書 406)』と『難しい本を読むためには (ちくまプリマー新書)』の二冊のさわりを紹介しながら、難しい本を読むときのポイントを確認しました。
本を読むことの多様さを捉えたい
本編でも触れましたが、最近の倉下のテーマは”「本を読むことの多様さ」を語りたい”です。
読書についてさまざまな言説があるわけですが、そのどれか一つが正解なのだと特権化するのではなく、そのようなさまざまな人と本との関係の総体こそが「読書」という営みなんだ、と言いたいわけです。
その上で、じゃあ自分はどんな風に本との関係を結んでいこうかと考えることができればバッチリですね。
でもって、それぞれの関係にズームすればそこまでややこしい話にはなりません。個別の読み方において安定的なスタイルは確認できます。一方で、別の関係を覗いてみるとそれとはぜんぜん違うスタイルが実践されていて、その二つが相反することも珍しくないのです。
その意味で、そこに広がっているのは「読書の多様体」だと言えるでしょう。全体そのものはとても複雑で、でも局所化すればある程度平易な説明が可能である。そういう見立てです。
というわけで、今回は多様な読書のうち、「自分の身の丈を少しだけ越えている本」を読むための技法を紹介している二冊の本を中心に紹介しました。
どちらもきわめて実践的な内容で、「自分の身の丈を少しだけ越えている本」(長いので「背伸びする本」と呼びましょう)を読むときの大きな助けになってくれると思います。それぞれの本は、もちろん読みやすく書かれているので、初心者読書家にも安心です。
それぞれの読書にあった方法で
結局のところ、「一読してわかる本」を読むのと同じスタイルで「背伸びする本」を読んでもうまくわからないのは当然です。別に頭が悪いわけでも、読書が苦手なわけでもありません。適切な方法に習熟していないだけ。
もちろん方法に習熟すれば、すべての読みが可能になるというものではありません。つまり、どんな本でもすらすらと「わかる」ようにはなったりしません。単にそれに合った「読み方」が可能になる、ということです。
手持ちの読み方が限られていると、「一読してわかるように書かれた本」しか楽しむことができません。これは、趣味としての読書を考えてもちょっと寂しい感じがします。教養を得るためとか、正確に原典を理解するためとかではなく、読書という行為の楽しみを広げる意味でも、いろいろな読み方ができるといいな、と思います。












