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BC018 アフタートーク&倉下メモ
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『WILLPOWER 意志力の科学』

倉下メモ

意志力のお話です。認知資源という言い方をしてもよいでしょう。倉下はその概念を伝えるためにMP(エムピー)というたとえをよく使います。メンタルポイントでも、マジックポイントでも、その他その人がイメージしやすい何かであればよい、というゆるい意味でのMPです。

それは使ってしまうとなくなってしまう。なくなってしまうと「思うようにできない」。それがHPとは別にある。

そういうイメージです。これは、総合的な意味での体力の一部なのですが、一方で体は動くけれども判断力が摩耗している状態というのがあって(仕事終わりにスーパーに行くと実感します)、その辺の感覚を捉えるためにMPという概念を錬成したわけです(MPと聞くとゲームに親しんでいる人は自然とHPと別のパラメータだと認識するからです)。

いろいろ厳密に考えていくとMPというたとえでは無理な部分もでてきますが、そもそもたとえは厳密に一致するものではないからたとえなわけですから、個人的にはそれで十分だろうと考えています。とにかく「難しい問題に判断力をつかうと、その後はその力が弱ってしまう」ということが伝わればOKかな、と。

で、ゲームのイメージでもわかりますが、それって夜寝て朝起きると回復しているんですね。実は仮眠しても戻る感覚があります。つまり、MPのイメージを持てば、具体的にどのように対処すればいいのかのイメージもわきやすい、というわけです。だいたいのゲームでは、HPを回復するアイテムは入手しやすくてもMPとなると途端に難しくなるので、そういう「希少性の高さ」みたいなものもMPというメタファーには潜んでいるのがお得です。

ようするに、MPというメタファーはそれを(デカルト的な)心身二元論に持ち込みたいのではなく、「個人のパラメータの一部であり、使えば減少していくようなところがある(だから無理をするな)」というメッセージを伝えたいために作った次第です。そこさえ伝わればだいたいOKです。

近隣の本

さて、この手の話は実はいろいろリンクしている話があります。その中でも近隣性が高いのはいかの本。

『マシュマロ・テスト――成功する子・しない子』

『いつも「時間がない」あなたに (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 』

『なぜ意志の力はあてにならないのか―自己コントロールの文化史』

2hop先まで提示すると莫大に膨れ上がりますので、まずはこのあたりから探索されるのがよろしいでしょう。

次の本の候補

紹介する、紹介すると言って先送りになっていた『理不尽な進化』を取り上げます。

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