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BC036『CONFLICTED 衝突を成果に変える方法』
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BC036『CONFLICTED 衝突を成果に変える方法』

『CONFLICTED(コンフリクテッド) 衝突を成果に変える方法』

書誌情報

概要

現代は、意見の対立が多い時代である。インターネットによって、コンテキストが異なる人と交わる機会も増え、統一的な価値観が崩壊しつつあるので、すべての人が同じ意見である、という状態は少なくなっている。

一方で、私たちはそうした状況で「うまくやる」ための方法をほとんど知らない。日常的に訓練されることはないし、進化論的にそうした能力が獲得できるという機体も持ちがたい。意識的に取り組む必要がある。

異なる意見がぶつかりあう状況(=衝突)は重要である。それはお互いの価値観を明らかにし、状況を改善し、事態を一歩前に進めるためには避けては通れない状況とも言える。むしろ、異なる意見を押さえ込んでしまうと、「問題」をただ先送りにするだけでなく、完成そのものを壊してしまう可能性すらある。

お互いに率直に意見を交換できるようにすること。そのためには、以下の原則が重要だと著者は述べる。

  • 原則1 つながりを築く

  • 原則2 感情の綱引きから手を放す

  • 原則3 相手の"顔"を立てる

  • 原則4 自分の"変わっている"ところに気づく

  • 原則5 好奇心を持つ

  • 原則6 間違いを利用する

  • 原則7 台本なんていらない

  • 原則8 制約を共有する

  • 原則9 怒るときはわざと

  • 原則10(鉄則) 本音で語る

大切なのは、相手を「対等な人間である」と肝に銘じておくこと。自分も感情があるように、相手も感情がある。侮辱されたら理屈なんてどうでもよくなるし、自分が正しいと思うことを目一杯主張したい気持ちを抑えるのも難しい。お互いにそういう存在なのだ、ということを理解して「コンフリクテッド」な話し合いに臨むこと。

その意味で、上記の10の原則は、インターネット時代の基礎コミュニケーション技術と言えるかもしれない。

倉下メモ

さすがにツイッター歴も長いので、いまさら「ツイッターを議論のできる場所にしよう!」という夢は抱いていませんが、かといってそれがそのままインターネットを諦めることになってしまうのはもったいないなとも感じています。

文脈が異なる人が集まって、「率直な」意見交換ができる場所を作ること。

これまでは、そうした活動は「できる人はできて、できない人はできない」と割り切っていたところがあるのですが、本書で「原則」としてまとめられているのをみて、少なくともある「訓練」を経ることでその能力が身に付くのではないか、という気持ちになっています。

また、単に人を集めるだけでなく、「有益な意見交換(衝突を含む)」を可能にするためには、その場の方向性を明示する「ルール作り」も重要なのだと感じました。しばらくは、このテーマについて考えていきたいと思っています。

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面白かった本について語るポッドキャスト&ニュースレターです。1冊の本が触媒となって、そこからどんどん「面白い本」が増えていく。そんな本の楽しみ方を考えていきます。