今回の本は、ブックカタリストで語ることで、ようやく全体が理解できた、という感じでした。まさに「話すことで頭が整理できる」「アウトプットが理解のための最善の方法である」というのを実感した本です。
「言語哲学」と言われる、20世紀初めに起こった哲学の中でも比較的「新しい」哲学でしかもわりと「細かい」「厳密」な分野でもあるので、ざっくりと理解する、イメージするというのが難しい、ということもあるかもしれません。
とは言え「言語行為論」だとか「表出型の言語行為」「真理条件的内容」みたいな難しい言葉が、最後のキレイに回収されていく流れは実に見事で、いろいろ難しい言葉がいっぱい出てきたのはこのためだったか!という納得感が高く、満足して読み終えられました。
『悪い言語哲学入門 』
今回の本では(全部を上手に説明できる気がしないので)テーマを絞って、主に本書の5章にある「言語行為論」と、7章の「総称文」について話しました。
惣流・アスカ・ラングレーの言う「あんたバカぁ?」は言語行為としてどういう行為なのか。
真面目なんだか不真面目なんだかわからないこの視点が大変素晴らしく、エヴァンゲリオンを新しい視点で楽しむためにも哲学が使える!というのは哲学を一般に広げていくにはすごく重要な視点に思えました。
あの「あんたバカぁ?」ってなんなん?って議論とか、けっこうありそうな気がするんですよね。そこで哲学的知識をバックグラウンドに分析を語れれば、より深い、一段上のオタクになれる!
少なくとも自分の場合、こういう視点を得たことで、マンガや小説を読むときの楽しみ方は一段深まったような気がします。
もう一つ、7章の総称文に関しては、視点を変えると「英語を学ぶときにも役立つ」という実例付き。
Maryl is blonde, but not a blonde.
こういう文章って、英語の理解を深める、みたいな本に出てきそうな話ですが、言語哲学的にも題材になる、というのは興味深く、これまた「哲学」と「外国語学習」がつながる面白さが経験できた気がします。
「左手でボールを投げた」と「左投げ」はまったくうける印象が違う。
これもまた読んでみて確かにその通り、と深く納得。総称文にはこういう「怖さ」があるというのは、是非本書を実際に手に取って考えてみてほしいと思う内容です。
正直、自分にはすごく難しい本で、読むのにものすごく苦労した本なんですが、だからこそ「独学した」っていう実感は強く、読みおえた満足感は非常に高い本でした。
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