今年最後の回となります(アフタートークの配信は残っております)。一年間の配信リストは以下のScrapboxページにまとめてみました。
◇2022年ブックカタリスト配信リスト - BCBookReadingCircle
まず、全体を通して言えるのが「とにかく続けることができた」という点です。物事において一番難しいといっても過言ではないのが「継続」なので、それが為せたことは(手前みそですが)功績と言えます。
こういう活動は、一人でも続けるのが難しいのですが、二人以上となるとさまざまな問題が発生して余計に続けにくくなるかのように思えますが、案外「自分ではない相手」がいることで続けられる効果があるような気もします。自分ひとりでやるのは自由なのですが、その「自由」はきっと限定的な力しか持たないのでしょう。この辺の話は、私の昨今のテーマとも重なります。
で、そのテーマですが、私(倉下)は「個人・教養・自己啓発のこれから」が大きな括りになるでしょう。そこには、知的生産/知的生活、啓蒙主義、私たちの社会における知性(あるいは理性)の役割、といくつものサブテーマが重なり合っています。
『啓蒙思想2.0』で論じられているように、私たちの理性はそこまで強大な存在でも完璧な存在でもありません。一方で、それ抜きにしては現代の文明社会はほとんど成立しないことも確かです。であれば、いかにその「理性」なるものを発揮させられるようにするのか。それを個人や環境の側面から考えていくことが、私の大きな関心事になりそうです。
一方でごりゅごさんは、哲学から広がって社会の有り様に目を向けつつ、私たち生物やもっと大きく地球の歴史にも関心を広げておられました。哲学というものが、目の前の「生」から視点を動かし、より広い視野・深い視座で物事を考える知的営為だとするならば、遺伝子や生物史に目を向けるのは同じような視点の動きだと言えるかもしれません。あと、ここでも「歴史」に関心を持たれているのが印象的です。なにかしらの歴史・ログ・足跡といったものに惹かれる傾向をお持ちなのかもしれません。
大きな議題
さて、一年の配信を振り返って考えたいのが、「一体この番組は何なのか」という話です。
「面白い本を紹介する」という漠然としたテーマでスタートした当番組ですが、今のブックカタリストの有り様は単純にそれだけでは無いような気がしています。「面白い本を読んで、紹介する」は依然としてあるものの、「本を面白く読む姿勢」も関係していますし、それ以上に「本を読んでどうするのか」という部分も関わっている気がします。
不思議な話で、主催者である私たちもこの番組が一体何なのがわかっていません。むしろ試行錯誤しながら何か新しいものを作ろうとしている、というのが正確なところでしょう。先駆的に答えがないものに取り組んでいるわけです。
というわけで、今後も少しずつ何かを変えながら、「一体この番組は何なのか」という答えを模索していこう思います。
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