今回は、『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』を取り上げました。
書誌情報
著者:
ベント・フリウビヤ
経済地理学者。オックスフォード大学第一BT教授・学科長、コペンハーゲンIT大学ヴィルム・カン・ラスムセン教授・学科長。メガプロジェクトにおける世界の第一人者
デンマーク女王からナイトの称号を授けられた。
『建築家フランク・ゲーリーのプロジェクトマネジメント DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文』
ダン・ガードナー
カナダ在住のジャーナリスト、作家
『専門家の予測はサルにも劣る』
『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』
翻訳:
櫻井祐子
『時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』
『1兆ドルコーチ――シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え』
出版社:サンマーク出版
出版日:2024/4/24
目次
序章「"夢のカリフォルニア"」
1章 ゆっくり考え、すばやく動く
2章 本当にそれでいい?
3章 「根本」を明確にする
4章 ピクサー・プランニング
5章 「経験」のパワー
6章 唯一無二のつもり?
7章 再現的クリエイティブ
8章 一丸チームですばやくつくる
9章 スモールシング戦略
終章 「見事で凄いもの」を創る勝ち筋
主題
私たちはプロジェクトをどのように進め、そしていかに失敗するのか。それを回避するにはどうしたらいいか?
ビジョンを計画に落とし込み、首尾よく実現させるには?
プロジェクトはたいていうまくいかない
本書において重要な指摘は、プロジェクトというのはたいていうまくいかず、しかもそのうちの一部は破滅的な結果を引き寄せるくらいにうまくいかない、という点です。
そうした結果を引き寄せる要因には、権力(政治)と心理バイアスの二つがあって、私が注目したのは心理バイアスの方です。
私たち人間は、最初に思いついたことを素晴らしいアイデアだと思い込み、そのアイデアについて詳細な検討も、メタな分析もすることなく「計画」を立ててしまう。
実際その「計画」は、こうなったらいいなという妄想を並べただけのものであり、その通りに実現できなことは始めから決まっている。
ここで重要なのは、計画通りに実行できない主体が悪いのではなく、そもそもの計画立案が杜撰だ、という見方です。よく、自己啓発界隈でも計画を立てても、その通りに実行できない自分に罪悪感を覚えるという話を聞きますが、その見方はひっくり返した方がよいでしょう。
実行する主体(としての自分)が悪いのではなく、実行しうる計画を立てられていない主体(としての自分)が拙いだけなのです。
*そもそも日本では上意下達の感覚が強いので、こういう見方に不慣れな人が多いのかもしれません。
で、実行しうる計画というのはシミュレーションが行き届いた計画であり、それは経験を織り込んだ計画とも言え、つきつめるとタスクシュートのようなログベースの"計画"だということになるでしょう。
計画の精度を突き詰めていくと、ログになる。
これは面白い話だと思います。
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