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BC119『ゼロからの読書教室』から考える「本の読み方」
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BC119『ゼロからの読書教室』から考える「本の読み方」

読書の多様なあり方を許容する

今回は倉下が『苦手な読書が好きになる! ゼロからの読書教室』を紹介しながら、本を読むことについて考えてみました。

書誌情報

  • 著者:読書猿

  • 出版日:2025/5/23

  • 出版社:NHK出版

  • 目次:

    • 第1部 本となかよくなるために……しなくてもいいこと、してもいいこと

      • 第1回 全部読まなくてもいい

      • 第2回 はじめから読まなくてもいい

      • 第3回 最後まで読まなくてもいい

      • 第4回 途中から読んでもいい

      • 第5回 いくつ質問してもいい

      • 第6回 すべてを理解できなくてもいい

      • 第7回 いろんな速さで読んでいい

      • 第8回 本の速さに合わせてもいい

      • 第9回 経験を超えてもいい

      • 第10回 小説なんて読まなくていい

      • 第11回 物語と距離をおいていい

      • 第12回 小説はなんでもありでいい

    • 第2部 出会いたい本に出会うために……してみるといいこと、知っておくといいこと

      • 第13回 いろんな本を知ろう

      • 第14回 本の海「図書館」へ行こう

      • 第15回 レファレンスカウンターに尋ねよう

      • 第16回 百科事典から始めよう

      • 第17回 百科事典を使いこなそう

      • 第18回 書誌はすごい道具

      • 第19回 書誌を使ってみよう

      • 第20回 件名を使いこなそう

      • 第21回 上位概念を考えよう

      • 第22回 リサーチ・ナビを活用しよう

      • 第23回 青空文庫に浸ろう

      • 第24回 デジコレにもぐろう

*本書は「基礎英語レベル1」の連載「中学生からの本となかよくなる方法」を加筆修正したものです。

多様な読書の方法

私たちはいろいろなことを学校を通して学ぶわけですが、多くの場合、

  • 具体的なレベルでの「方法」は学ばない

  • 提示された方法があるなら、それ以外は認められない

という二つの傾向を持ちます。そして、その出会いがミスマッチなら、その後の人生にも影響を与えます。

たとえば、学校の「音楽の授業」が合わなくても、音楽的活動は好きかもしれません。でも、音楽の授業が嫌いだったから、自分は音楽が嫌いなんだ、と思ってしまうかもしれません。悲しいすれ違いです。

私の経験から言って、体育や美術の授業がそうでした。ぜんぜんそれらの活動が好きになれないまま卒業し、大人になってから出会い直して好きになりました。

読書感想文もそうです。今では、誰にも頼まれずに書評記事などを書いていますが、夏休みの読書感想文がいやいやで仕方ありませんでした。私の人格が変容したのではありません。私と対象の間に介在する「方法」が変わったのです。

たぶん、本を読むこともそうでしょう。もっと言えば、何かを学ぶことも同じなはずです。

提示されたやり方があって、それでうまくいかなくても、対象を拒絶する必要はありません。間にある「方法」を変えれば、関係が変わることはよく起こります。

方法についての知識を増やすことは、対象との関係を、あるいはそのバリエーションを変えることに貢献してくれます。

本を読むことが、さまざまな知識の源であり、また自分の体験を豊かにしたり、新たな思索を呼び込む役に立つことを考えれば、まず読書の方法を増やしていくことは非常に「コスパがよい」と言えるかもしれません。

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